2008 年 43 号ジャンプ感想

はじめに

なぜ今更ジャンプ感想などやるかというと、先日 有無 さんからダブルアーツ終了に関してリンクで飛んだ

この文章を読んで、なるほどなあと思っていた矢先に始まった新連載がアレだったからです。できれば上のリンク先の文章を先に読んでいただくとありがたいです。


私はダブルアーツは全く読んでいなかったけれどジャンプ感想サイトとかをまわってちらほら噂を聞いていた程度の知識でも、すらすらと読めて論旨が明確で、分かりやすい文章だなあと感心させられました。この人漫画編集者になればいいのに。もちろん冗談だけど、編集者がこれ位分かっている人であれば、このような事を噛み砕いて分かりやすく伝えて導いていれば、もう少しなんとかなったのではないか。とも思うわけです。

新連載 アスクレピオス について

私は絵は下手だしストーリーなども自分で考えて創作した事もないのでじゃあお前はなんなんだと言われると手も足も出ないのですが、ジャンプで新連載する、という時点でもう私の万倍頑張った凄い人なんですが。
これはちょっと良くないです。
まず絵を見てああ D.Gray-man のアレン君が手塚治虫のキャラの街でブラック・ジャックですか、ちょっと小畑絵も入ってるかな、というもう身も蓋もない感想が浮かんで、そして舞台設定が中世、病気がテーマ、と上の まにまに さんの言っていた指摘にまたもズバズバ引っかかっていて、ストーリーは万人が予想しえるものから 1mm もはみ出てはいませんでした。ごめんなさい。
私は普段ジャンプは立ち読みで 3 〜 4 作品を立ち読みするだけなので*1まともに新連載や読んでいない漫画を読むという事は最近していなかったのですがこれは最近の新連載の中では良い方なのでしょうか悪いほうなのでしょうか。10 週打ち切りが目の前に見えるような気がするのですが。

漫画家リスペクトについて

なぜ手塚治虫をリスペクトするのにでかいハナを描きますか。なぜ荒木飛呂彦をリスペクトするのに奇妙な擬音やひねったポーズを描きますか。
他の漫画家をリスペクトするなら、まずその作者の第一条件である「面白さ」と第二条件の「本質」を取り入れなくては駄目でしょう。そんな枝葉末節ばかり真似ていても、その漫画家を知っている読者に「私はこの漫画家が好きだ」という事をアピールするだけの効果以上でも以下でもありません。そういえばうろ覚えですがベルモンドの 1 話にジョジョの「前に進んでいるのに後ろに進む」だとか何かと HUNTER×HUNTER の何かについて要素を取り入れてリスペクトを示していましたよね。アレです。
手塚治虫のリスペクトするならばまずその面白さと、あと本質、これは私なんかが書くのはおこがましいですが、人間、人間の生と死、絶望、希望、をつきつめて描く事でしょう。これについては時代もあったでしょうがギャグや大胆な SF 感なども。
荒木飛呂彦をリスペクトするならまずその面白さと、あとおそらく荒木飛呂彦が昔の「サスペンス映画」や「ホラー映画」のエッセンスを漫画に取り入れている事でしょう。あの人はサスペンス感を描きたいがためにその他のストーリーを全て後からくっつけていくような人で、「ギャングの幹部に会いに行ったら自分の指ごと食べた」「街中の人間がカタツムリに」「鉄球を受けたら自分の左半身の世界が崩れていった」など何かおぞましい、けど何かワクワクする、「怖くてワクワクする」という展開をまず先に考えていってるに違いないんです。だから後から能力じゃ説明できない現象がどんどんあふれていくんです。ブラックサバスの能力でどうやって指を再生できますか。
キャラクターの外見的特徴などはその作者の末端の末の末端であって、そんな所を真似た所で何にもなりはしません。パロディやオマージュは除く。大体パロディやオマージュはその作品に芯があってこそです。自分の芯に外見的特徴など入れても滑稽に見えるだけです。


これはジャンプ感想ではない気がしてきた。

*1:読者の立場からズバズバ感想を言うのはまだ消費者だから分かるが、立ち読みしてる私に批判する資格は全く無いですね。ごめんなさい。