バクマン。について

これは好きです。
最初の数話は普通に読んでいたんですが、原作者の大場つぐみが、自分の分身である叔父さんの漫画が とっても!ラッキーマン だった、とかでかでかとバラした辺りから何か不安を感じ始めていて、その後叔父さんについてのエピソードが増えていくにつれとても平静には読めなくなってきました。男のロ・マンの話とかもう驚いたの何の。
大場つぐみはこの連載を自叙伝にするつもりだ……!
と感じたからです。週刊少年ジャンプで一人の漫画家の自叙伝的漫画なんて描けるはずはありません。そうではなくこれはより漫画家らしい、「漫画的自叙伝」です。例えるなら、大場つぐみはこの連載に、自分の血や肉を注ぎ始めたのです。
これは怖い。次は何をブッチャけるか。自身の女性遍歴、というか片思いの女性と文通、なんて個人の念がつまりまくったエピソードを出されてタジタジです。最近は漫画、アニメ共に軽く、ゆるくが流行になっているというのになんて濃い作品を作り始めるんだ!
そしてそれが少年二人が漫画家を目指すという枠組みに入っていて、そしてそれが週刊少年ジャンプで掲載されているという点。アンケート至上主義により人気が無くなったら即打ち切りです。それは前作のラルΩグラドで実証されています。「打ち切りを免れながらジャンプ漫画を続けながらそこに自身の核を削って埋め込んでいく」という目の眩むような本気のチャレンジをしてるわけです。画:小畑 健 で。


片思いの女性と、というエピソードは正直眉唾かもなとも思っています。読者が上のように「こいつ本気だ!」と感じる事を分かっていてその上で 10 の本気の中に 3 の大嘘を混ぜたりしそうな人ですから。大場つぐみは。それだけ生々しいエピソードを「創る」能力はありますから。そこがまた面白く怖ろしい。結婚して子どももいますからね。で子どもが vip にスレたてたりしてる。


あと最近漫画の描き方とかいう本がやたら多く出たり、ジャンプ本誌で漫画講座をやったりと、軽い「君も漫画家になれる!」という風潮があるところに、「ふざけんなよ漫画家になるってのはそんな簡単になろうかなっつってなるもんじゃねえんだ」というまたその風潮に逆らう感じがありますよね。そこも凄いと思います。


このドロドロした感じと元来のストーリーメイクの力によってバクマンがどこまでいけるのか非常に楽しみであります。今週はなんと思わぬところから「編集者暴露」始めましたよね。漫画を通して大場つぐみが話してるようでもう何といったらいいのか。これは漫画の皮をかぶった何なのか。
そういうわけでバクマンについては私は小畑健のレベル高い絵とは全く関係無い所に楽しみを置いています。
小畑健は絵が上手くなりすぎて「美少女」像がやばいことになってないか?とかこれはあんまりこの文章に関係ないけど思いますね。ほんとどうでもいい。


やっぱこれはジャンプ感想ではないな。